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企業を成長させるために、従業員を増やして労働力を高めることは有効な手段の一つです。しかし、人が多くなれば職場のトラブルは起こりやすくなります。特に、さまざまな種類の「ハラスメント」は注意したいところです。この記事では、主なハラスメント行為や、企業がとるべき適切な対応について解説します。
職場でのハラスメント行為はなぜ問題なのか
もしも職場でハラスメント問題が起きたとしたら、従業員のモチベーション低下を招きます。ハラスメントが起こる現場で、仕事に打ち込みたいと考える社会人は少数派でしょう。結果的に仕事へのモチベーションが下がり、業務効率が落ちていきます。また、優秀な人材は、わざわざ問題のある職場で労働をしたいとは思いません。自分にふさわしい職場を見つけ次第、転職していきます。企業にとって必要な人材ほど、ハラスメントによって流出してしまうのです。
また、ハラスメントは人材がポテンシャルを発揮することも妨げます。本来であれば部下は上司に相談したり、質問をしたりして成長していくものですが、ハラスメントがあるとコミュニケーションをとりづらくなります。本人の能力が停滞してしまうだけでなく、キャリアに見合っただけの成果を引き出せないと企業側の損害にもつながるでしょう。
そしてコンプライアンス問題に敏感な世の中では、ハラスメントが発生する企業への批判的な視線も強まっています。企業が社会的信用を維持するためにも、経営者はハラスメント問題撲滅のために力を尽くす必要があるでしょう。
問題となる主なハラスメント行為
ここではハラスメントの3つの代表的な類型を挙げ、それぞれを詳しく解説します。
パワーハラスメント
上司と部下、先輩と後輩といった上下関係の中で起こりがちなのが「パワーハラスメント(パワハラ)」です。パワハラは、人間関係において、一方に優越的な関係がある場面で起こり得る問題です。もっとも、目上の人間が指示を出したり、業務上の注意を与えたりするのはごく一般的な行為です。しかし、業務の範囲を超えて相手の人格否定にまで至ったとしたらパワハラと認定されます。
そのほか、権力を振りかざして相手が受け入れがたい要求を通そうとするのもパワハラの一部です。「残業の強制」「恫喝や暴力」「酒席での辱め」といった行為が、パワハラの事例にあてはまります。ちなみに、よく似た問題として、言葉の暴力を執拗に浴びせ続けたり、無視をしたりする行為を繰り返し、相手の尊厳を侵害する「モラルハラスメント(モラハラ)」もあります。
セクシャルハラスメント
世界的にも問題となっているのが性的な言動で相手を困らせたり、同意なく接触行為に及んだりする「セクシャルハラスメント(セクハラ)」です。女性の社会進出とともに、セクハラは表面化するようになりました。「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」といった性別に基づく役割意識のことを「性別役割分担意識」と言い、これに基づいた言動が、セクハラの原因や背景になってしまう可能性があると言われています。
セクハラは意識的に行われているケースばかりではありません。男性側が親しみをこめて投げかけたつもりの言動や仕草が、セクハラにあたるときもあります。また、セクハラは男性から女性だけでなく、女性から男性や同性からのケースもあります。セクハラ被害に遭いながらも自分から声を上げられない被害者は多く、経営者は意識を高く持って対策を練るべきです。
出典:「ハラスメントの定義」(明るい職場応援団)を加工して作成
マタニティ(パタニティ)ハラスメント
妊娠しても仕事を続ける女性は増えています。国立社会保障・人口問題研究所によると、「第1子出産前後の妻の就業継続率は、これまで4割前後で推移してきたが、2010~14年では53.1%へと上昇」しており、女性の二人に一人が妊娠しても仕事を続けていることが分かります。しかし、職場の受け入れ態勢が整っていないと「マタニティハラスメント(マタハラ)」が起こりやすくなります。また、同様に、職場の受け入れ態勢が整っていないと、男性が育児をするために育児休暇を取得する「パタニティハラスメント(パタハラ)」にもつながります。
マタハラやパタハラでは、企業から従業員への不当な扱いが主な事例として挙げられます。妊娠や育児を理由として解雇を言い渡されるなど、本人の意思を無視した人事が問題となっています。また、同僚や上司からの嫌がらせなどもマタハラに含まれます。
上記以外にも問題になり得るハラスメント行為はたくさんあります。
職場のハラスメント行為に対する企業の対応
ハラスメントが起こってしまうと、企業側の責任が問われます。ここで最悪ともいえる対応が、ハラスメントを「従業員間の問題」として、経営者側が無関係を貫こうとすることです。ハラスメントが起こる背景には、不健全な職場環境を放置していた企業側の怠慢、無知があります。経営者が責任逃れをしようとするのは、ハラスメントを認めることと同義です。従業員の心は離れ、世間からのバッシングも強まるでしょう。
企業は、ハラスメントを許さない姿勢を示すことが重要です。そして、万一ハラスメントが発生した場合は、可能な限り迅速かつ正確に事実関係を調査し、真相を突き止めます。事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行います。その際に、被害者は精神的なダメージを受けていると考えられますので、被害者の気持ちに寄り添うように心掛けましょう。被害者は、加害者への注意だけを希望する方もいますが、心の傷が深い場合など、直接の謝罪や配置転換を求めることもあります。一方で、加害者に対する措置も、就業規則上の罰則等に沿って適正に行います。
また、今後同じ問題が再発しないよう、研修などの方法で従業員を教育することも重要です。なお、調査においては上層部の主観は徹底して除外します。「あの人がハラスメントなんてするわけない」という考えはもちろん、「きっとやっているに決まっている」との思い込みも、真実を見る目を曇らせます。被害者をケアしつつ、公正な判断ができるよう加害者にも冷静に接しましょう。
出典:「職場におけるセクシャルハラスメントマニュアル」(厚生労働省)を参考にして作成
まとめ
職場でのハラスメントは、従業員にも企業にも大きなダメージを与える問題です。従業員が健全に働ける環境を作るためには、経営陣が率先して問題に関する知識を身につけなくてはいけません。そして、万が一ハラスメントが起こってしまったら、解決を先送りにせず迅速に対応しましょう。
*記載されている法令、規則等は記事作成日現在のものです。
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