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昨今、 パワーハラスメント(パワハラ)問題が、一部のマスコミなどで取り上げられ、世間を騒がせています。では、現実はどうなのでしょうか。
厚生労働省が2016年7月から10月にかけて実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」では、以下のような調査結果が報告されています。
1.従業員向けの相談窓口で、最も多かった相談はパワハラに関するもので32.4%
2.過去3年間に1件以上のパワハラに該当する相談を受けた企業は36.3%
3.過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した従業員は32.5%
いずれも3割を超えており、パワハラはもはや他人事ではありません。しかし、漠然としたパワハラのイメージはあっても、具体的にどこからがパワハラで、どこまでがパワハラではないのかは、判然としません。
そこで、パワハラとはなにか、パワハラ問題が起きたらどう対処すべきか、事前に防ぐ対策などについて、詳しく解説します。
出典:「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(厚生労働省)を加工して作成
まず押さえておきたいパワハラの定義と典型的な行為
厚生労働省は、「職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの」としています。
また、この3つの構成要素を満たすパワハラの典型例として次の6類型を挙げています。
それぞれの例を見てみると、これまで漠然としていたパワハラのイメージが明確になったのではないでしょうか。中には、あれもこれもやってはいけないような不安に襲われる方がいるかもしれません。その点について、厚生労働省は、「客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません」としています。まずはパワーハラスメントを正しく理解して行動することが大切だといえます。
出典:「パワーハラスメントの定義」(明るい職場応援団)
「パワーハラスメント対策導入マニュアル(第4版)」(明るい職場応援団)
従業員からパワハラの相談を受けたらどうする?
パワハラの被害にあっているとの相談を受けても、その時点で、パワハラは本当にあるのか、あるとしたらどの程度なのかなどを、把握できていないことがほとんどです。
事実関係は徹底的に調査しなければなりませんが、まずはパワハラがあるものと仮定して、相談者の身の安全を確保し、安心させることを最優先に考えなければなりません。その上で、相談者の話をじっくり聞きます。相談者を萎縮させるような質問や、付け焼き刃のアドバイスは禁物です。また、パワハラによる健康状態や精神状態への影響がないかも確認する必要があります。
調査には公平性が求められます。
相談者の申し立てが事実かどうかを、職場の同僚へのヒアリングなどにより確認すると同時に、パワハラの加害者とされる人物からもきちんと事情を聞く必要があります。
本人に、パワハラをしていたとの認識がない場合もあります。また、「業務上の指導」と思っていた言動の一部が、パワハラになってしまった場合なども考えられます。
厚生労働省は、「それがパワーハラスメントであるかどうかを判断するには、行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうか等詳細な事実関係を把握し、各職場での共通認識や厚生労働省の『あかるい職場応援団』サイトに掲載されている裁判例も参考にしながら判断します」としています。
仮に、調査でパワハラの有無が判断できなかった場合には、会社の顧問弁護士に相談するなどして、問題をうやむやなままに放置しないことが大切です。
パワハラの防止に雇用者が取るべき事前対策
パワハラが起きてしまってからの対応も大切ですが、まずは起きないようにすることがそれ以上に重要です。厚生労働省は、「パワーハラスメント対策導入マニュアル」で、パワハラ防止のために有効と思われる企業の取り組みを提案しています。
1.トップのメッセージ
会社のトップが「職場のパワハラをなくすべき」との強いメッセージを発信し、社内で問題意識を共有させます。
2.ルールを決める
就業規則などに、パワハラ行為について厳正に対処することを定めます。
3.実態を把握する
社内アンケートなどによって、パワハラの有無や社員のパワハラに対する意識を把握します。
4.教育する
定期的な研修を実施し、会社のルール内容やパワハラへの取り組み、具体的な事例などを教えます。
5.周知・啓発する
社内メールや冊子、ポスターなどを使って、パワハラについての意識を社員に浸透させます。
まとめ
パワハラはあってはならないものです。パワハラへの理解を深め、会社として事前に防止するための対策に取り組む必要があります。また、パワハラ被害の相談があった場合には、放置せずに事実関係を確認し、適切に対応しなければなりません。
*記載されている法令、規則等は記事作成日現在のものです。
*AIG損保は掲載内容につき万全の注意をしておりますが、内容の正確性完全性につきこれを保証するものではありません。
*お客さまの個別の案件につきましては、専門家・専門機関にご相談ください。
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