1. 2018年の車の風水災被害
昨年(2018年)は、台風やゲリラ豪雨などによる風水災被害が数多く発生しました。
岡山や広島、愛媛などで大きな被害が出た「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」や25年ぶりに非常に強い勢力のまま日本に上陸した「台風21号」、「台風24号」などを代表に、風水災被害が全国各地で頻発したことは記憶に新しいのではないでしょうか。
風水災被害では、家屋の損害がニュースとして多く取りあげられますが、同時に車の損害も多く発生しています。
一般社団法人日本損害保険協会のデータによると、車の事故受付件数の多さが分かります。特に「台風21号」では、12万台以上の車に損害が発生し深刻な傷跡を残しました。
【2018年に発生した主な風水災に係る車両保険(商品車を含む)の支払件数・支払保険金(見込含む)等について】
(※1)2018年12月11日現在(※2)2019年3月11日現在
出典:一般社団法人日本損害保険協会「平成30年台風21号および台風24号に係る各種損害保険の支払件数・支払保険金(見込含む)等について【No.18-048】」から要約
2. 近年の水災被害の傾向
近年の水災被害の発生場所の傾向として、河川から水が溢れることにより河川周辺の広範囲な区域で発生する洪水氾濫だけでなく、局地的な大雨の発生頻度の増加等により、都市に降った雨が河川等に排水できずに発生する内水氾濫のリスクが高まっています。国土交通省の調査によると全国の水災被害額でみた場合、41%は内水氾濫によるものです。
今を生きる企業にとって、水災は他人事ではなく、「身近な危険」になっていると言えるのではないでしょうか。
■全国の浸水被害の発生状況(平成19年~28年の10年間の合計)【水害統計より集計】
3 車における水災の被害 目に見えない「嫌な」損害とは
台風やゲリラ豪雨により、車が浸水してしまうと、様々な損害が発生します。
エンジン内に水が入り、エンジンがかからなくなる。電気系統がショートしてしまう。シートが濡れてしまうなど。そのような目に見える物理的な損害に加えて、目に見えない「嫌な」損害が発生します。
それは「におい」です。
「におい」の原因は、細菌の繁殖によるものです。そのため、「におい」の強さは浸水した水質によっても大きく度合いが変わります。たとえば、清水(水道水)であれば「におい」はほとんど残りませんが、汚水(下水)が混ざると悪臭がひどく、座席シートのクリーニングを行っても車の隙間に入り込んだ汚水を完全には取りきれず、強烈な「におい」が残ってしまうことが多いようです。
特に座面以上に浸水してしまうと、クリーニングを行い一時的に「におい」がなくなったと思っても、再び悪臭がし始めることもあります。
これは、災害発生後のニュースなどが伝えきれていない事実です。
車の浸水による「におい」の影響を軽減するためには、「被災後いかに早く車内洗浄を行うか」がポイントとなりますが、シートを丸洗いするような車内洗浄は専門業者にしかできない作業です。大規模災害の際は専門業者への依頼が増え、車内洗浄の受け入れに時間がかかるため、手遅れになってしまうこともあります。
4. もし車が水災にあってしまったら、やってはいけないこと
国土交通省が、浸水被害を受けた車のユーザーの方に対して行っている注意喚起の内容をご紹介します。
車が浸水被害を受けた場合、外観上問題が無さそうな状態であっても、感電事故や電気系統のショート等による車両火災が発生するおそれがあり注意が必要です。対処方法は以下を参考にしてください。
① 自分でエンジンをかけない。
② 使用したい場合には、お買い求めの販売店もしくは、最寄りの整備工場に相談する。特に、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)は、高電圧のバッテリーを搭載しているため、むやみに触らない。
③ 使用するまでの間、発火するおそれがあるため、バッテリーのマイナス側のターミナルをつなげたままにしない。
また、外したターミナルがバッテリーと接触しないような措置(テープなどで覆う)をする。
5. 車を水災から守る有効な対策とは
車を水災から守るためには、事前の対策が有効です。
① 車の保管場所の水災リスクがどの程度あるのかを、ハザードマップなどを用いて確認する。
地域のハザードマップは、「国土交通省ハザードマップポータルサイト」から検索が可能です。市町村によっては、洪水ハザードマップだけでなく、内水ハザードマップを公開しているところもありますので、参考にしてください。
② ハザードマップの活用方法として、事前に避難経路を定める。
避難経路を定める際には、実際にその道を歩いて、浸水時には見えなくなってしまう側溝や、土砂崩れが起きそうな崖、水が噴き出しそうなマンホールなどの危険箇所が無いかチェックすることをお勧めします。
③ 大型台風が接近している場合は、あらかじめ車を高台などに避難させることを検討する。
当然のことながら、既に台風の暴風域に入り人命が最優先とされる状況においては、車の避難を行う余裕はありません。
車が浸水被害を受けた場合、見た目の印象以上に高額の修理費がかかります。そのため修理費が車の時価額を超えるいわゆる全損のケースも多く発生します。特にリース車が全損となった場合は、中途解約金の一括支払いが必要になり、資金繰りが悪化する可能性もあります。
それらのコストに対する事前の対策として、自動車保険の「車両保険」に加入することも有効であると言えます。大規模災害発生時には、修理業者などへの依頼が増え、修理対応に時間を要することが想定されます。水災が発生した後も、立ち止まることなくビジネスを続けるために、事前の対策をご検討ください。
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