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建設業就業者は労働時間の長さなどから、脳・心臓疾患が増えています。また、50代の建設業就業者を中心に、精神疾患も発生しているという現状もあります。
そこで今回は、建設業において高まる病気の労災リスクについてご紹介します。
建設業を取り巻く現状
2019年に働き方改革関連法が施行され、労働環境を改善するために労働時間の上限規制が適用されるようになりました。建設業への適用は2024年4月までの猶予があり、それまでに労働環境を整えなければなりません。
建設業に猶予期間が設けられているのは、さまざまな課題があるからです。例えば、建築業就業者の減少が挙げられます。1997年には685万人いた建設業就業者が、2016年には492万人にまで減りました。幸い、2010年くらいからは、ほぼ横ばいとなっているものの、建設業就業者の高齢化に伴い、大量離職が懸念されます。これは、2016年の時点で、建設業就業者の約3割が55歳以上であり、29歳以下は1割程度しかいないことが要因です。
また、建設業の労働時間は、全産業の労働時間と比較すると長い傾向があります。2016年でいえば、建設業の年間平均総労働時間が2,056時間なのに対し、全産業の年間平均総労働時間は1,720時間となっています。つまり、建設業就業者のほうが、年間336時間、月平均で約28時間も労働時間が長いことになるのです。
これは、出勤日数や休日にも影響しており、建設業の年間出勤日数は2016年の時点で251日なのに対し、全産業の年間出勤日数は222日となっています。つまり、平均に比べて年間29日、月で約2.4日以上出勤日が多いのです。
建設業で働きたいと考える若者を増やしていくためにも、2024年4月に向けて、労働環境を変えていく必要があるでしょう。
出典:「建設産業の現状と課題」(国土交通省)
建設業は病気の労災リスクが高い
危険と隣り合わせの建設業には、事故による労災リスクへの対応は欠かせません。加えて、建設業就業者の高齢化による、健康面でのリスクも考えられます。ここでは、建設業で起きやすい脳・心臓疾患や精神疾患など、病気による労災リスクについてご紹介します。
脳・心臓疾患の労災認定数が多い
建設業では、脳・心臓疾患の労災認定は、2017年で112件、2018年で99件となっており、運輸業や製造業と並んで非常に多い状況です。
過労死等防止調査研究センターの調査によれば、建設業の建設業の疾患別の労災認定では、心臓疾患の割合が全業種中で一番高くなっています。これは、長期間の過重業務が原因とされており、発症前の時間外労働時間は、平均80時間を超えていることでもわかるでしょう。また、同調査によると、脳・心臓疾患は、現場監督、技術者などでは20代、技能労働者などでは60代に発症の割合が高いことがわかっています。
仕事の失敗や心理的負荷で精神疾患も発症する
建設業での労災リスクのひとつとして、精神疾患が挙げられます。過重労働は結果的に睡眠時間を短くし、身体的な疲労も精神的な疲労も回復できずに、メンタルヘルス不調となり、それが悪化して精神疾患となってしまうことが多いといえます。建設業から請求のあった精神疾患は、2017年で114件、2018年で129件となっています。これは、業種全体の精神疾患件数の6~7%となっています。
過労死等調査研究センターの調査によれば、建設業の特徴として50代の発症が多く、死亡時平均年齢は60代です。これは、長時間労働はもちろんですが、現場監督や技術者には仕事の失敗、技能労働者には事故などの経験から心理的負荷が高いためと考えられます。
この結果から、建設業では長時間労働への対策や、建築現場における対人関係への配慮などの対策が必要といえるでしょう。対人関係の配慮では、外国人なども働く状況で、年齢や文化の差などがあり、今までの「現場の常識」が通じないことも多くあります。持続可能な事業とするためにも、多様性を認め、人により受け止め方が違うこと理解し、指示の出し方などを工夫することが重要です。
出典:「脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」(厚生労働省)
出典:「精神障害に関する事案の労災補償状況」(厚生労働省)
出典:「平成30年度報告書(医学面の調査研究全体版)」(厚生労働省)
たとえ病気になっても安心して働き続けられる職場に
工事現場では、事故などの労災が起きる可能性があります。また、就労人口が減少していく中で、建設業界で働きたいという若者を増やし、すべての世代において安心で働きやすい職場にしていくためには、ケガだけではなく、病気も含めた対策が必要ともいえるでしょう。
AIG損保では、病気になっても社員が安心して働ける「業務災害総合保険(ハイパー任意労災)」をご用意しています。ぜひ、加入をご検討ください。
監修者プロフィール:
山本喜一(やまもときいち)
特定社会保険労務士、精神保健福祉士
上場支援、労働基準監督署、労働組合、メンタルヘルス不調者、問題社員対応などを得意とする。現在は同一労働同一賃金対応に力を入れている。著書「補訂版 労務管理の原則と例外 働き方改革関連法対応」新日本法規など多数。
22-2F8003
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