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1 はじめに
企業の人材確保を実現させるためには、雇用管理における人材採用とその定着において、改善策を講じることが重要です。採用活動で必要な人材を確保し、採用後は「定着管理」を実施することで、人材不足のリスクを軽減できるでしょう。
ここでは、採用シーズンを迎える前に見直しておきたい、「採用管理」「定着管理」の改善についてご紹介します。
人材確保の仕組み図
2 「採用管理」に関する取組みを検討する
まずは、採用活動を通して人材を確保するための対策について、「募集」と「選考」とに分けて見ていきましょう。
●「募集」に関する取組み
「採用活動をしていても応募者が少ない」「求人媒体の選び方がわからない」「企業の魅力をアピールするポイントがわからない」といった課題を抱えている場合、募集に関する取組み方を考える必要がありそうです。ここでは、募集段階で見直したい3つのポイントについてご紹介します。
- 求人内容を工夫する
「給与などの求人条件を明確に示す」「実際に従業員が働く様子や職場環境のイメージを伝える」「SNSなどで求人情報以外にも企業の魅力をアピールする」など、求人内容を工夫し、求職者が企業に対して興味を抱くように改善してみましょう。 - 求人媒体を選ぶ
費用対効果を意識しつつ、求人広告、ウェブ、ハローワークなどの求人媒体から、採用したい人材層の利用率が高い媒体を選ぶことがポイントです。 - 雇用形態や求人条件自体を見直す
求職者のニーズに合わせて、雇用形態や経験・資格の有無といった求人条件(未経験・無資格も可にするなど)を見直してみましょう。
●「選考」に関する取組み
「求める人材像と応募者がマッチしていない」「採用方針と、求める人材像や実際の応募者にずれがある」などの課題を抱えている場合は、選考段階における取組みを工夫してみましょう。
- 面接時に業務内容や労働条件の説明を丁寧に行う
面接をおざなりにしてしまうと、採用後のミスマッチが発生しやすく、早期離職のリスクも高まります。
面接時には業務内容や労働条件に関する説明をきちんと行い、可能であれば職場見学もさせることで、ミスマッチを防ぎましょう。 - 採用ターゲット層を拡大する
「未経験者も可にする」「女性を積極的に採用する」など、幅広いターゲット層から採用することが必要な場合もあります。
3 「定着管理」に関する取組みを検討する
ここからは従業員の定着率を高め、人材不足のリスクを軽減するための対策を、「配置・配属」「評価・処遇」「教育訓練・能力開発」の3つのステップに分けて見ていきましょう。
●「配置・配属」に関する取組み
「採用後の指導体制に不安がある」「新人が業務に適応できない」「同じ部署で離職が続く」といった課題がある場合は、人員の配置と業務とのミスマッチが生じている可能性が高いです。新人の配置や配属に関する改善策をとっていきましょう。
- 採用者の受け入れ態勢を整える
採用前までは人事部などの手厚い対応があったものの、受け入れ先の部署では、業務の多忙さから採用者への十分な気づかいができない場合があります。この場合、「自分はいらない人間なのか」と思って離職を考えるケースもあるため、採用者を貴重な人材として迎えるための受け入れ態勢の準備が必要です。 - 離職防止・モチベーション維持・人材育成のための配置転換を行う
離職防止には、従業員の配置転換などが有効です。配置転換は、モチベーションの維持、人材育成に有効とされています。企業規模にもよりますが、可能な範囲で配置転換を実施してみることをおすすめします。
●「評価・処遇」に関する取組み
「人事評価に不満を持たれている」「育成や評価・処遇等のキャリアパスを従業員にうまく示すことができない」といった課題を抱えている場合は、評価制度やキャリアパスについて見直してみましょう。
- 従業員が納得できる人事評価を行う
人事評価に対する不満や不信は、モチベーションの低下や会社に対する信頼度の低下の原因となり、離職のリスクも高まってしまいます。従業員が、公平かつ正当に評価されていると納得できる、人事評価を行うことが大切です。
- 将来を展望できるキャリアパスを提示する
ポストや給与など、自分の将来がどうなるのかをイメージしやすいキャリアパスを提示することで、モチベーションや働きがいを与えます。また、「上昇志向」なのか「やりがい重視」なのか、従業員の価値観を考慮することも大切です。 - 長期勤続や成果に対する手当支給・褒賞を検討する
従業員の働きに応えるためにも、長期勤続や成果に対する手当支給や褒賞など、目に見える形で処遇することも、モチベーションをアップさせる重要な要素です。
●「教育訓練・能力開発」に関する取組み
「業務スキルの標準化ができていない」「人材育成に不安がある」といった課題がある場合は、教育訓練や能力開発支援の充実度を確認してみることをおすすめします。
- 定着しやすい新人教育を実施する
採用後に適切な新人教育や研修が受けられない場合、採用者が「ここでは役に立たないのかもしれない」と感じてしまい、早期離職にもつながりかねません。たとえ経験者でも、会社ごとに業務の詳細は異なりますので、必ず新人教育や研修を用意しておきましょう。 - 自己研鑽に対する支援を行う
従業員が自己成長を実感できる社員研修制度があることで、会社への信頼度や帰属意識が高まります。また、資格取得や外部研修といった自己研鑽への支援を行うことも、「自分は会社に育てられている」と感じてくれるようになりますので、定着率アップに有効です。
4 おわりに
人材確保は、採用時だけでなく採用後の定着を促進する対策を講じることもポイントです。
評価制度や教育制度を見直し、早期離職のリスクを軽減しながら、従業員の長期的な定着を実現していきましょう。
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