1. 建物アスベストによるリスクの増加
アスベストを吸い込むことにより発症する疾病には、中皮腫や、肺がん、石綿肺などがあり、厚生労働省の人口動態統計によると、中皮腫による死亡者は、2019年には1466人となっており約20年間で約3倍に増加しています1。
アスベストの用途のうち約8割は建材(吹付け材、保温・断熱材、スレート材など)であり、工場・ビル等から一般住宅まで、様々な建築物等に広く使用されていました。
2006年9月にアスベストの使用が全面的に禁止されたことで、日本でアスベスト含有建材が使用されることはなくなりましたが、2006年8月以前に建築に着手した建築物にはアスベスト含有建材が使用されている場合があります。
国土交通省の発表2によると、アスベスト含有建材が使用されている建物の解体工事は急激に増加してきており(2018年は約6万棟)、そのピークは2028年前後(約10万棟)であると推計され、今後もアスベスト含有建材を使用している建物の解体等工事は増加することが見込まれます(2038年でも約7万棟)。