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もしも会社が大地震に見舞われたら?
2011年に発生した東日本大震災では、震災被害によって倒産や廃業へ追い込まれる中小企業が多くありました。大地震は企業にとって倒産・廃業の大きなリスクといえるでしょう。
自社にあまり被害がなかったとしても、ライフラインが停止したために商品の製造やサービスの供給ができず、事業が中断したり縮小したりせざるを得ないといった事例も数多く報告されています。
中小企業が震災で被害を受けた場合、事業を継続するために具体的にどのような方法を取ればよいのでしょうか。
震災から約3カ月後に震災関連倒産の件数がピークに
東京商工リサーチが公表した、東日本大震災による震災関連倒産に関する統計データを見てみましょう 。
上記統計データから、東日本大震災の発生から3カ月後の6月に、震災関連倒産の件数がピークに達していることがわかります。すなわち、震災後3カ月以内という早期に資金繰りが困難になる企業が多く存在しているということになるでしょう。
具体的に企業にはどのような損害が生じるのか?
大地震で企業が被災して事業が中断した場合、最終的には倒産につながる恐れがありますが、まず考えられる損害は機会損失(得べかりし利益・逸失利益の損失)でしょう。さらに、事業が中断して売り上げがないとしても、賃料や人件費などの固定費は払い続けなければなりません。
建物の倒壊や機械の故障、什器の破損など、具体的な被害の内容によっては修理や再取得、移設などの費用が生じることもあり、一時的に企業には大きな支出が必要となります。
企業は事業を継続させるため、自社の平均的な現預金残高から事業中断が許される期間や、事業に不可欠な工場や設備が被災した場合の復旧にどの程度の費用が必要か、その費用をどのように工面するかといった検討を事前にしておくことが大切です。
事業の早期復旧を実現するための5つの方法
震災の被害によって事業が中断してしまった場合、倒産を避けるためには早期の復旧が必須であり、そのためには資金の確保が重要です。資金確保の方法として、以下の5つが考えられます。
①売掛金の回収
②金融機関の融資
③国や自治体の補助金
④保険の活用
⑤経営者の貸付
大規模な地震が発生した場合には、中小企業の資金繰りを支援するため、被災地の中小企業支援機関(日本政策金融金庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所など)に特別相談窓口が設置されるので、これらをうまく活用すると良いでしょう。中小企業庁でも震災被害の支援に関する情報提供を行っているので、万が一に備えて確認してみてください。
また、④保険の活用に関しては、通常の火災保険では、震災に対して備えが無い場合もあるため、必要に応じて、新規に損害保険へ加入したり、契約内容(支払条件)を確認したり、想定されるリスクとの関係で不備が見つかった場合には、契約内容を見直すことも必要です。
BCP(事業継続計画)の策定
倒産を避け、震災被害から早期に事業を復旧させるため、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定しておくことも重要です。
過去の震災においては、事前に策定したBCPによって早期に事業が復旧できた例が報告されました。BCPは中小企業の盤石でない資産を守るため、また顧客や取引先企業などの信頼を得るためにも策定しておくことが必要でしょう。BCPについては企業が自力でBCPを策定することができるよう、中小企業庁をはじめ、さまざまな支援が行われています。
中小企業庁HP:http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/
政府系金融機関のなかには災害などの緊急時に融資するだけではなく、企業の防災力向上を目的として、平時の融資制度を設けているところもあります。BCPを策定した企業向けに、設備の耐震化や防災資機材の購入などに対し、有利な条件で利用できる融資制度が設けられていることも。こういった融資を活用できる点もBCPを策定するメリットといえるでしょう。
終わりに~備えあれば、憂いなし~
震災被害による廃業や倒産を避けるためには、早期に事業を復旧し資金ショートを避けることが重要です。そのための平時からの備えが不可欠でしょう。
万が一の事態に事業を継続させ、社員を守るためにも、事業の継続に不可欠な建物や機械などの備えが十分か、もし被災した場合は継続のための費用が工面できるか、いま一度検討してみてください。BCPを策定しておいたり、資金確保の手段を確認しておいたりということも、震災被害で倒産という事態に陥らないために重要なことでしょう。
(このコラムの内容は、2018年2月現在の法令等を前提にしております)
※当該記事は、AIG損害保険(株)がメールマガジンで2018年4月2日に配信したものを最新の情報に更新し配信しております。
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