1 はじめに

寒い季節になると、手足の末端や下半身が冷たくなる「冷え性」に悩まされる人が増えます。これまでは女性に多い症状とされてきましたが、最近は男性も症状を訴えるようになりました。体が冷えるとよく眠れなかったり、寒気がして集中力が途切れたりするなど、業務にも支障が出るため、事業者としてしっかり対策を施す必要があります。
また、個人でもできる対策はいくつもあるので、これらを実行するように促すことは効果があるのではないでしょうか。

2 冷え性の原因は自律神経!?

体が冷たくなったり、寒くて震えてしまったり、お風呂に入っても上がるとすぐに冷えてしまうなど、冷え性の症状はさまざまです。そして冷え性には、自律神経(体を動かすときに働く交感神経と、体を休めるときに働く副交感神経)が大きく影響していると言われています。これは、自律神経がストレスなどによって正常に機能しなくなることが原因と言われています。

自律神経は、自分の意思とは関係なく体の機能を調整する役割を担うもの。暑いときに汗をかくのは、この自律神経が正常に働いているからです。しかし、不規則な生活をして自律神経が興奮し続けたり、ストレスを受けたり、ホルモンの乱れが起きると交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、だるさや頭痛、めまいや立ちくらみ、動悸や息切れといった症状が現れるようになります。その症状のひとつに「冷え」があるのです。

そのほかの原因として、甲状腺機能低下症や心不全、低血圧なども挙げられますが、これらが疑われる際には医師による診察と治療が必要でしょう。

 

※出典:厚生労働省HP「eヘルスネット/自律神経失調症」

3 冷え性は4つのタイプに分けられる

冷え性の自覚がある人でも、症状が現れる体の箇所はさまざまです。そして、部位によって4つのタイプに大別することができます。それぞれの原因と対策と合わせてチェックしてみましょう。

●四肢末端型

手足の指先が冷たくなるのが四肢末端型です。やせ型の若い女性に多く見られるのは、過度なダイエットが原因とされているため。改善するには適度な食事、特にたんぱく質をとることが大切です。

 

●下半身型

下半身型は、30代から中高年の男女に多い症状で、腰から下が冷たくなります。デスクワークで下半身の筋肉が硬直していることが原因です。臀部にある「梨状筋」をしっかりほぐすと改善します。

 

●内臓型

内臓型は、おなかの中が冷たくなるタイプです。体質や血流障害が原因で、汗をかきやすく、ややぽっちゃりした体型の女性がなりやすいとされています。食事の量に気を付けることと、厚着を避けることが重要です。

 

●全身型

全身型は、若い人や高齢者に見られるタイプで、体全体が冷たくなります。基礎代謝の低下とエネルギー不足が原因です。十分な食事をとり、よく眠ることで改善につながります。
 

※参考:NIKKEI STYLE「冷え性、タイプ知り対処 末端型は食事を増やそう」

4 冷え性になりにくい環境を作る

冬のオフィスでは暖房を使うことがほとんどですが、設定温度が高いと暑くなりすぎてしまいますし、逆に低すぎても快適に過ごすことはできません。従業員が気持ち良く業務を行えるように、ベストな温度を見つけるようにしましょう。また、従業員みずからが冷え性にならないような工夫をすることも大切です。オフィスが「やや寒い」と感じたとき、「体を冷やさない」ために、次のような手段をとると良いでしょう。
 

●薄い肌着を着る

寒いからといって厚い肌着を着てしまうと、温度の変化に対応しにくくなります。薄い肌着にして、寒さを感じたらカーディガンやベストを羽織るようにしましょう。
 

●上着ではなく小物を使う

ジャケットの上にコートというように上着を重ねるより、首元など衣服の開口部をふさいだほうが効果的です。スカーフやマフラー、手袋などを上手に使いましょう。女性は薄手のショールを使い、温度変化には巻き方を変えることで対応するのがベターです。
 

●暖房の直風を避ける

たとえ暖かい風であっても、体に直接あたると寒く感じてしまいます。また、暖かい風が足下に冷気を呼んでしまうこともあるので、仕切りを利用するなどして直接風があたらないようにしてください。
 

●体を動かす

ずっと同じ姿勢で体を動かさずにいると筋肉がこわばってしまい、特に下半身の冷え性につながります。折を見て腕を伸ばしたり、階段を使ったりするなど、勤務中にできる範囲で体を動かすことが重要です。
 

●温かい飲み物を飲む

体を冷やさないために、飲み物にも工夫が必要です。ペットボトルや自動販売機のよく冷えた物ではなく、温かい物を選ぶようにしてください。魔法瓶にお茶などを入れて持ってくることを推奨しても良いでしょう。
 

事業者は、これらの冷え性対策を従業員に周知、徹底させることが大切です。同時に、オフィス内での服装についての規定を緩めたり、エアコンの送風口に風を拡散するパーツを取りつけたりするなど、冷え性になりにくい環境を整えるようにしましょう。
 

※参考:NIKKEI STYLE「節電の冬 寒い職場で快適に過ごす6カ条」

 

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