サードパーティーのトラッカー、クッキー、プラグインなどのツールは、それらの利点が具体的に特定できる場合にのみ使⽤すべきです。データプライバシー訴訟の状況が常に変化している中、不必要にこれらのツールを使⽤したり、これらのツールによって収集した個⼈データを保持・転送することに伴うリスクが増加しています。
例えば、これまでに、マサチューセッツ州とカリフォルニア州の原告は、企業による盗聴だと申し⽴てた訴訟で数百万ドルの和解⾦を獲得しています。原告らは、メタピクセル、セッション・リプレイ(Session Replay)、ヒートマップス(Heatmaps)など、ウェブサイト上でユーザーの個⼈データを収集したり、ユーザーの⾏動を観測したりするツールの使⽤が、「有線通信の内容を第三者に不正に送信していることに該当する」と主張しました。このような訴訟がマサチューセッツ州とカリフォルニア州だけで起こるとは考えにくいです。50州すべてに盗聴禁⽌法があり、その中には数百万ドル規模の賠償責任につながりうる法定損害賠償額が定められている州法もあります。
こうした訴訟リスクを減らす第⼀歩は、ツールの使⽤を制限することですが、そのためには組織全体の協⼒が必要です。ビジネスの観点からツールを完全に排除することは⾮現実的かもしれませんが、その使⽤を必要な範囲に限定することで、関連するリスクを軽減することができます。そして、利⽤規約やプライバシーポリシーに個⼈データの追跡に関連する開⽰を含めることで、ツールによる個⼈データの追跡についてユーザーの同意を求めることができ、リスクの軽減につながります。
また、保有する個⼈データを最⼩化することは、効果的なリスク軽減⼿段となります。将来のリスクを軽減するという観点から、いつ、何の⽬的のために、どれくらいの期間、個⼈データを収集し保持するべきかを検討する必要があります。例えば、⾦融や医療の分野では、特定の顧客情報を保持することが義務付けられている場合もありますが、すべての企業は、どのように個⼈データが収集され保有されているかを継続的に監査し、不要な個⼈データを削除することが、効果的なリスクマネジメントにつながります。