Global Risk Manager

地政学リスクから生じるサプライチェーンへの影響と緩和するための行動

2023年3⽉17⽇ 公開

RIMS⽇本⽀部 × AIG損保

Global Risk Manager Vol.005 地政学リスクから⽣じるサプライチェーンへの影響と緩和するための⾏動とは?

本連載シリーズは、リスクマネジメントのグローバルな⾮営利組織、RIMSの⽇本⽀部とAIG損保の共同編集により、これから海外進出を⽬指す、またはすでに海外進出している企業のリスクマネージャーのスキルセット向上を⽬指しています。⽇々の業務はもとよりビジネスの先を⾒据えた洞察・推察にお役⽴ていただければ幸いです。

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、多くの企業は、投資や事業展開、サプライチェーンなどの観点から、さまざまな調整を余儀なくされています。それらの調整は、受け⾝にならざるを得ないのでしょうか。地政学リスク(※)に対して、リスクマネージャーが起こせる⾏動について考えます。

 

  • 地政学リスク:ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の⾼まりが、その地域や世界経済の先⾏きを不透明にするリスク。

地政学リスクに対処する3つのアクション

潜在的なリスク遭遇可能性を特定する

物的損害、政治的リスク・不確実性、社会不安、サプライチェーンの混乱、景気減速、取引先信⽤リスク、サイバーリスクなど、潜在的なリスク遭遇可能性を特定します。

転嫁できるリスクを特定し、緩和計画を⽴てる

リスクをビジネス上の諸機能と照らし合わせ、供給業者や顧客、あるいは保険市場に転嫁するリスクと、そうでないリスク⾒極め、緩和計画を検討します。

制裁に関する規制上の課題を、常に監視しておく

直ちにロシアに制裁を課した⽶国、英国と、ロシアやウクライナで活動を継続しているインド、中国では、貿易に対する制裁措置も異なるはずです。
不測の事態を想定した計画を⽴てるには、状況を監視することが⼤切です。

戦争に起因する地政学リスクの影響を受けやすいサプライチェーン

船体や貨物に対するリスクと海上保険への影響

ロシア・ウクライナ地域内およびその周辺地域の資材供給者や交易路に直接的・間接的に依存して事業を展開している企業では、船体や貨物への損傷、交易路の変更、遅延による⽣鮮品の腐敗などにより、事業の中断やサプライチェーンの混乱が発⽣しました。

 

また、海上保険は陸上での戦争による損害を補償しないため、ウクライナにあった多くの貨物や、⿊海の紛争地帯にいたほとんどの船舶は、船体と機械に対する補償を失いました。そのため、荷主は直ちに貨物を最も近い安全な場所に迂回させるか、あるいは元の場所に持ち帰るなどの対応を迫られました。

地政学リスクを軽減するために重要なこととは?

状況変化にタイムリーに対応するための5つの準備を

発⽣し得るいかなる状況からも確実に保護されるよう、リスクマネージャーは以下の5つを⼼がけて、準備をしておくといいでしょう。

  1. 保険会社やブローカーとの協⼒体制を築いておくこと。
  2. リスクを認識し、リスク軽減のためのプレイブックを作成しておくこと。
  3. 主要な供給品およびサプライヤーが所在する国および地域における地政学的、社会政治的および経済的・政治的紛争に注意を払うこと。
  4. すべてのサプライチェーンでリスク遭遇可能性を徹底的に評価しておくこと。
  5. 特定の国や地域への依存を減らし、直接的な⼀次サプライヤーだけでなく、徐々に代替サプライヤーを開拓しておくこと。

詳しくはRIMS⽇本⽀部の
【Web特別版】2022年10⽉号をご覧ください。

(本記事は会員限定のため、正会員/協賛会員への登録が必要です)

出典

本記事は、リスクマネジメントのグローバルな⾮営利組織、RIMSが発⾏する機関誌「Risk Management」【Web特別版】2022年10⽉号の記事を、RIMS⽇本⽀部とAIG損保が翻訳・共同編集したものです。

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