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拠点間のネットワークを生かして地政学リスクに備える(小川 晃司)

⼩川 晃司 | Koji Ogawa
AIG損害保険株式会社
信⽤保険部 ポリティカルリスク保険チームリーダー

2008年8月に旧AIU保険会社に入社。一貫してポリティカルリスク保険の引受および推進を担当。AIG米国、英国、シンガポールなどのポリティカルリスクチームと緊密な連携を行い、金融機関や商社、製造業、建設業など、海外との取引を行うお客さまのビジネスをサポートしてきた。

⽇本企業の海外進出先の中には、戦争や内乱、テロといった紛争のほか、それらに起因する接収・収⽤(公権⼒による強制的な動産または不動産の差し押さえ)、外貨送⾦規制などの地政学リスクを抱えている国や地域もあります。

AIG損保のポリティカルリスク保険は、進出先の海外⼦会社や現地法⼈を地政学リスクから守るための保険です。主な補償範囲は、現地法⼈の資産の接収・収⽤、現地法⼈の国有化、外貨の送⾦規制、戦争や暴動などによる施設(⼯場やオフィス)の破壊、債務者(現地法⼈の取引先企業)の国有化、戦争等による代⾦回収不能、国営企業や政府が債務者であった場合の不払いなどです。

地政学リスクに関わる損害をカバーするという点で⼤企業向けの保険と思われるかもしれませんが、海外投資保険で現地の⽕災保険では補償していない部分の担保としても使えることから、中⼩企業のニーズにも応えられる保険となっています。

AIGグループの拠点は世界各地にありますが、ポリティカルリスク保険はニューヨーク、ロンドン、シンガポール、東京の4拠点で扱っています。この4拠点にはアンダーライティングの機能と地域情勢に関する情報を収集・集約する機能があり、周辺エリアの中央拠点のような役割を担っています。

拠点間のネットワークを⽣かすことで、リアルタイムな情報を加味した保険提供や、お客さまの新ビジネス展開をきめ細やかにサポートできる点はAIGグループの⼤きな強みです。

地政学リスクを考える上で私たちは「インフレ」と「選挙」にも注⽬しています。

インフレはサプライチェーンの問題によって引き起こされることがあります。代表的なものは⾷料問題です。⾃然災害、戦争など、さまざまな要因で⾷料そのものが減り、また輸送費も⾼騰し、各国の物価が上がるとインフレが進⾏します。その結果、財政難の国や地域で暴動が起こり、政情が不安定になっていくケースがあります。

また選挙については、政権交代が起こると新政権が前政権の政策を否定するケースも出てきます。極端な例では、前政権が認めていた輸出⼊に関わるライセンスや事業のライセンスが撤回される、といったものです。こうした政策の急転は、お客さまのビジネスに⼤きなインパクトを与えることがあります。

そのためAIGグループでは各国の地政学リスクを評価する際に、「インフレに陥っていないか」、「選挙によって政権交代が起こるのか」という点も政治的な不安要素として⾒ています。

ポリティカルリスク保険では、地政学リスクの⾼まり、つまり有事やその恐れが⾼まると、保険の購⼊は難しくなっていきます。そのため、平時からリスクを把握・ヘッジできるよう、お客さまにさまざまな情報をお伝えしています。

⼩川 晃司(おがわ こうじ)
AIG損害保険株式会社
信⽤保険部 ポリティカルリスク保険チームリーダー

2008年8月に旧AIU保険会社に入社。一貫してポリティカルリスク保険の引受および推進を担当。AIG米国、英国、シンガポールなどのポリティカルリスクチームと緊密な連携を行い、金融機関や商社、製造業、建設業など、海外との取引を行うお客さまのビジネスをサポートしてきた。

本記事の内容は、2024年7月時点の事実に基づき記述しています。記事内の数値や部署名または人材の所属は現在の内容と異なる場合がございます。

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