皆さま、いかがおすごしですか?旅にまつわるさまざまな仕事を手がける夫婦ユニット「旅音(たびおと)」が、日本から遠く離れた異国での旅の思い出をお届けします。
今回の旅の舞台は、北アフリカに位置するモロッコ。
青い街シャウエンや世界最大級のサハラ砂漠、往時の面影を残す城塞都市エッサウィラなど、多彩な魅力がつまった異国情緒あふれる国です。
それぞれの街が魅せる素晴らしい風景は、訪れる人すべてを異次元の世界へと誘います。
静謐な空気が漂う路地裏、絵本のような青い街シャウエン
雨が降る1月、たどり着いたモロッコはどんよりとした曇り空でした。着いた翌日以降も太陽は雲に隠れたままで、時折小雨がぱらつくあいにくの天気。でも、ホテルでじっとしているわけにはいきません。
なぜなら、一歩外に出れば「青い街シャウエン」の、目の覚めるような風景が待っているから!
シャウエンは、かつて異教徒の立ち入りが禁じられていたイスラムの聖域。時折感じる神秘的な雰囲気は、そういう事情とも関係があるのでしょうか。
迷路のように入り組んだ路地を歩くと、民家の壁もドアも、とにかく青。街歩きをしているのに、いつのまにか絵本の世界に迷い込んだような気分になりました。
圧倒的なスケール感!金色に輝く砂と青い空だけが目の前に広がるサハラ砂漠
モロッコに行くならサハラ砂漠ははずせないと思っていたものの、シャウエンからは結構な距離を移動しなければいけないため、行くかどうか悩みました。当時、息子はまだ4歳。長距離バスはさすがに厳しいだろうということで、奮発して車をチャーターしました。
途中、何度も休憩を挟み、約5時間かけてメルズーガに到着。すでに日が暮れかけていましたが、ホテルが砂漠の目の前というロケーションなので、その日のうちにほんの少しだけ砂の感触を楽しむことができました。
翌朝、カーテンを開けたら、窓の外には朝日を受けて黄金色に輝くサハラ砂漠が!これまで曇天続きだったこともあり、その眩しさと美しさに目が釘付けになりました。
朝食後すぐ、息子は「巨大な砂場」へ駆け出していきます。手にしたスコップで一心不乱に砂を掘り、四つん這いで斜面を登って、高いところから一気に転がり落ちてを何度も何度も繰り返し…。辺りが暗くなるまでたっぷり遊びました。
しみじみ感じたあたたかい歓迎ぶり。城壁が取り囲む世界遺産の町エッサウィラ
いよいよ旅も終盤。大西洋に面した城塞都市、エッサウィラまでやってきました。
フォトジェニックな白壁の建物が並ぶ旧市街をぶらついてから、少し足を伸ばして漁港へ。青空のもと、気持ちよさそうに飛ぶカモメに見とれていたら、突然、地元の人に話しかけられました。
「あなたの息子といっしょに写真を撮りたい」
実はモロッコ滞在中、何度となく息子との記念撮影をお願いされました。また、声はかけずとも、息子を見て微笑む人が老若男女問わず多かったのも印象的でした。
子どもが大好きなモロッコの人たちのあたたかい眼差しが、私たちの旅をより素晴らしいものにしてくれたと、今でも感謝しています。
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<著者プロフィール>
カメラマン(林澄里)、ライター(林加奈子)のふたりによる、旅にまつわるさまざまな仕事を手がける夫婦ユニット。単行本や雑誌の撮影・執筆、トークイベント出演など、活動は多岐にわたる。近年は息子といっしょに海外へ出かけるのが恒例行事に。著書に『インドホリック』(SPACE SHOWER BOOKS)、『中南米スイッチ』(新紀元社)。https://tabioto.com