39度8分ーー。体温計の示す数字を見て、大学生の亜実さんは青ざめた。起きているのもつらいほどの高熱、全身の倦怠感。イギリスの大学に留学して3年目。新型ウイルスが世界的に猛威を振るい始めた2020年春のことだった。
「大学進学のときは、日本とイギリスのどちらにするか悩みました。イギリスに決めたのは、英語のスキルを生かせること、そして多民族国家であることなどに魅力を感じたから。イギリスで学べるチャンスがあるなら挑戦してみたいと思ったんです」
進んだ学部は、統計学部。ヘルスデータサイエンスについて学んでいるところに、新型ウイルス拡大のニュースが舞い込んだ。周りの大学生たちとともに、亜実さんもすべての外出予定をキャンセル。自粛の体制を整えた矢先の発熱だった。
細やかなサポートは「まさに日本ならでは」
「とにかく病院に行こうと思い、母がAIG損保の保険に加入してくれていたことを思い出したんです。そこで、アシスタンスセンターに電話をしてみたら、担当の方からすぐに折り返しをいただいて、やりとりが始まりました」
亜実さんが加入していたのは「海外旅行保険」だ。海外滞在中に病気やケガなどが起きた場合、アシスタンスセンターが24時間体制で日本語による事故受付や医師・病院の紹介、手配といったサポートを行う。
担当者との情報のやりとりはメールだった。その文面が印象的で、ぬくもりがあったと亜実さんは振り返る。
――お熱が高く、大変お辛いご状況だったかと思われますが、無事ご快方へ向われていることを弊店一同心より願っております。
――夏時間が始まりましたが、依然寒い日が続いていますね。今年の春は新型ウイルスの感染拡大があり、厳しい春になりましたが、止まない雨はありませんから。
「心も体も弱っていたから、こうした言葉がとてもうれしかった。なんでも相談できる雰囲気で、回復まで親身にご対応いただきました」
海外暮らしの経験を多く持つ亜実さん曰く、「こうした心のあたたまる手厚いフォローは日本ならでは」。
「イギリスの人々も温かいのですが、ちょっと大雑把なのです。とくに病気で弱っているときに、なじみのある日本語で、優しくて細やかな日本らしいサポートを受けられるというのは本当に心強かったですね」
病院探しに予約、医療費の自己負担なし…保険の手厚さに驚いた
当時、「一番ありがたいと思った」こととして、亜実さんが真っ先に挙げたのは「AIG損保に病院探しから予約までをお願いできた」こと。
「実は、海外は診療の予約が大変。特にイギリスの場合は国立病院の医療費が無料で患者が殺到するため、窓口は多忙で、早口の英語でまくしたてられます。私のように3年間イギリスにいても体調不良で弱っているときには気後れしてしまうほどで、外国に来たばかりの方、体調のすぐれない方にとってはさらに難しく感じられるかもしれません」
担当者とのやりとりの中で、『往診』という選択肢があることも知った。
「2020年の春はイギリスでもいよいよ感染者が増えて、外出することさえ怖かった時期でした。『往診』は自分では思いつかない手段だったから、それも含めて探していただけたのもうれしかったですね」
ちなみに、イギリスでは、国立病院が混雑しているときは私立病院を受診するという選択肢もある。亜実さんも、最終的に日系の私立病院を受診することになった。ただし、私立病院では高額な診療費が発生するケースが多い。
「ありがたいことに、このとき行った病院がAIG損保の保険と提携している医療機関だったおかげで、『キャッシュレス・メディカルサービス』が適用されました。つまり、医療費の自己負担がなかったのです。また、通院のときにかかった交通費や院外処方薬の代金も請求できるという案内がありました。実際、交通費はそれなりにかかっていたので助かりました。つくづく海外で過ごすなら保険の備えは必須だと実感しました」
その後、新型ウイルスではなく、一般的なインフルエンザに近い病気と診断された亜実さんは、投薬と静養の甲斐あって1週間程度で回復。大学にも戻ることができたが、病気のためにレポートの提出が期限内に間に合わなかった。
「そこで、AIG損保の担当の方に事情を話し、病院から病気の証明書がもらえるかどうかを尋ねました。担当の方はすぐに病院に問い合わせてくださり、『大丈夫ですよ!』とお返事があって、無事に証明書をもらうことができました」
すっかり体調も回復し大学での単位の取得が順調にできた亜実さんは、今年の夏、医療統計についてのインターンシップに参加した。9月からは大学院に進学し、さらにヘルスデータサイエンスを学ぶという。
「今でも、家族と離れて暮らすことを寂しいと感じる時があります。とくに風邪を引いたようなとき、昔は母がよく看病してくれたことを思い出します。このイギリスでは、AIG損保が私の“お母さん”。この保険を契約しておいてくれた両親にとても感謝しています。今後も、何かあった時に安心してサポートを受けられるこの環境を生かして、医療分野に貢献できるように学び続けたいと思います!」