貿易会社から転職 初めての顧客開拓に挑む
貿易会社から転職 初めての顧客開拓に挑む
朝からお客さまに電話をかけていた渡辺美和子は、受話器を置いて時計を見た。そろそろ外回りに出かける時間だ。
法人のお客さまを対象に保険の営業を行う「コーポレート・キャリアエージェント(略称CCA)」に就いて5年。多様なリスクから企業経営を守る保険を販売するべく、新規開拓を続けている。
大学卒業後に一般企業で法人営業を5年間ほど経験したのち、貿易企業の事務職に転職。離れたところから営業という職種を眺めたとき、人々が営業に求めるものが見えた気がした。もう一度挑戦したいと考え、AIG損保のCCAに応募。2018年春に採用され、再び法人営業の世界に戻った。
入社してすぐ、3ヶ月間の研修期間があった。研修期間には保険商品や周辺知識を身に着け、その後はOJTで知識を深め、本採用後に備える。
新卒で経験した法人営業は、先輩から顧客を引き継ぐ形だったが、CCAでは一から新規開拓を行う。「顔が見えない電話が苦手」だという渡辺は、飛びこみ営業を中心に毎日数十社にアプローチした。
「突然訪問したり、電話をかけたりしているわけですから、断られて当たり前ですよね。門前払いが続いて、最初はめげました。でも、続けるうちにわかってきたんです。自分は広く浅くではなく、真剣にリスクについて考えているお客さまと深くお付き合いがしたい。そんなお客さまのために、保険という手段でお役に立ちたいのだ、と」
だからこそ、飛びこんだ先で時間をもらえたときは、渡辺は聴き役に徹する。
「自社の保険を売りこむことより、お客さまの事業や悩みについてしっかりと”聴く”ことを大切にしています。お客さまが心から必要としている本質的なサポートを、的確に行いたいからです」
聴くスキルを武器に “提案力”を高める
聴くスキルを武器に “提案力”を高める
その日、営業で訪問した渡辺に、「話を聞いてみたい」と応じた経営者がいた。応接室に通され、経営者が語るさまざまな悩みに耳を傾けてリスクを分析する。この時、渡辺が注目したのは、福利厚生のことだった。
「社員の皆さんはお使いですか?」と尋ねると、「いいえ、実はあまり…」と返事が芳しくない。その時のことを、渡辺はこう振り返る。
「福利厚生は、使う人が少ないなら見直して、社員の皆さんが使えるものを考えたいところ。以前、『福利厚生はいろんなタイプがあるが、結局は、社員のために加入した病気の保険がいざという時に役に立った』という話をお客さまから聞いたことがありました。働く人の数が多ければ多いほど、誰かが病気に罹る確率は高まります」
そこで、渡辺は「業務災害総合保険」の特約である「ハイパーメディカル」を紹介した。特約をセットすることで、社員は業務中か否かに関わらず病気に備えられる保険だ※。
「この保険がお客さまに喜ばれている点は、業務中はもちろん、それ以外の時にも備えられるという点です。すでに他社で労災の上乗せ保険に加入されている場合でも、わざわざ切り替える必要はなく、追加で「ハイパーメディカル」のみの加入もできるので、小回りのきく実用的な保険だと評価をいただいていますね」
こうした提案を経て、コミュニケーションを重ねた結果、この企業はハイパーメディカルを福利厚生の一つに位置付けて活用することを決めた。
「うれしいのは、お客さまから『ここまで仕事の内容を詳しく聴いてもらえたことはない』『ピッタリのプランをありがとう!』と声をかけていただいた時。やりがいを感じる瞬間です」
CCAの醍醐味は「コミュニケーション」
渡辺のもとに、お客さまから「保険料をもう少し下げられないだろうか」という相談が入ってくることがある。
事業内容が変わり、不要になった保険があるならカットを検討すべきだ。渡辺は事情を聴き、希望に合ったプランを提案する。
「普段は保険の内容について細かく考えたり気にしたりしなくても大丈夫なのです。でも、加入した保険の役割を見落としたまま、削ってはいけないものまで削ってしまうと保険の意味がありません。損害保険は一年毎に更新されるものが多いので、更新時に必ずお客さまを訪問し、『あっ、だから契約しているんだ」と思い出していただけるようにしています」
目指すのは、営業職ならではの細やかなフォロー。そう話す渡辺は、お客さまに対して「事故が起きた時、心配ごとがある時は、いつでも私にご連絡くださいね」と声をかけることも欠かさない。
「お客さまが万一の事故に遭われた場合は、詳しく状況を聴いて正確な情報を掴みたいといつも考えています。」
そうした情報をもとに、損害サービス部門の担当者が約款に照らし、支払えるかそうでないかを査定する。「お客さまと損害サービスを良い形で結ぶ橋渡しをするのも、私たちの大切な役割ですね」と渡辺はほほえむ。
「もし支払えなかった場合でも、お客さまにその旨を伝える役割は自分が担いたい。お客さまにご納得いただけるまで丁寧に説明し、お力になれなかったお詫びの言葉を伝えたい。前職の事務職では、社外とのコミュニケーションはほとんどありませんでした。今は、こうしてお客さまと向き合い、大切にケアをしながら信頼関係を深めていけることが大きなやりがいだと感じています」
- 病気に備える場合には「メディカル特約」の契約が必要になります。