脳に次いで神経細胞が多い腸は、免疫力や自律神経を正常に保つことにも深く関係しており、腸内環境が整うと心身に好影響を与えます。そして、腸内環境をより良い状態に整える活動が「腸活」です!腸活のポイントを、管理栄養士の清水加奈子さんに教えていただきました。
腸内環境を左右するのは善でも悪でもない「日和見菌」!
腸活でまず知っておきたいのは、腸内にいる細菌のことです。腸内に生息する多様な細菌は、体に良い働きをする「善玉菌」と悪い働きをする「悪玉菌」、どちらでもない「日和見菌」に分けられます。腸内細菌の理想的なバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」。実は、日和見菌は善玉にも悪玉にもなりうる性質を持っているため、日和見菌が腸内環境を左右するといっても過言ではありません。善玉菌を増やすことも大切ですが、日和見菌が悪玉菌に加勢しないよう、腸内を「善玉優位」に保つことが特に大切。日和見菌を悪玉優位に傾けてしまう要因はストレスや睡眠不足、食生活の乱れなどで、便秘や下痢、臭いおなら、口臭などはそのサインです!
腸活するならこれ食べて!
腸内細菌を理想のバランスにするために、最も重要なのは食事です。食事後の善玉菌は24~48時間ほどで排出されます。排出後に新たな菌を入れ、腸内環境を整えるサイクルを保つためにも食べる物が重要。食事のポイントは「善玉菌+善玉菌の餌となる食物繊維」をセットでとること。腸活のために意識してとりたい食材とおすすめレシピ、そしてちょい足し食材までご紹介します。
<腸活のために意識してとりたい食材>
- 菌類:納豆、漬物(キムチ、ぬか漬けなど)、ヨーグルト、味噌など
納豆などの発酵食品は善玉菌を豊富に含む。体質によって適した菌が異なるので、いろいろな菌を試しながら自分に合う菌を見つけていくのがポイント。できるだけ生きた菌をとるため、加熱なしで食べられる食品を選ぶのがおすすめ。 - 不溶性食物繊維:根菜類、大豆、きのこなど
不溶性食物繊維は水分を吸収して膨張、便のかさを増すとともに、腸のぜん動運動を促す。ただし、摂取しすぎると便秘を悪化させる可能性もあるので水溶性食物繊維と合わせてとるのが◎。 - 水溶性食物繊維:海藻類、こんにゃく、ぬるぬるネバネバ系食材(なめこ・山芋など)、キャベツ、大根、りんご、キウイなど
水溶性食物繊維は、有害物質など余分なものを吸着し排出をサポート。
<おすすめレシピとちょい足し食材>
- おすすめレシピ:きのこヨーグルトマリネ
きのこをレンジで加熱し、ヨーグルト+オリーブオイル+塩コショウであえるだけ! - ちょい足し食材:もずく酢
サラダのドレッシングに使えるほか、サバ缶と混ぜて副菜にするのもおすすめ。
腸内細菌の力は先進医療にも活用され始めている
2023年、難病の潰瘍性大腸炎の患者に対し、便移植療法(健康な人の腸内細菌を移植して腸内環境をリセットする治療)が保険診療と併用できる先進医療として承認されました。腸内細菌の可能性の大きさを裏付けるトピックです!
ぜひ皆さまも健康な心身を目指して、今日から腸活に挑戦してみてください。
〈健康トレンド〉次回予告
睡眠の質を上げる快眠テクニックと環境づくり
今後も、皆さまが自分らしい人生を送るためのヒントや癒やし、アドバイスなど楽しいコンテンツをお届けします!
- 上記の内容は予告なく変更する場合がございますのでご了承ください
<監修プロフィール>
清水加奈子(しみず かなこ)
フードコーディネーター/管理栄養士
調理師、中医薬膳師の資格も持つフードコーディネーター。アイディアレシピやダイエットレシピの提案からフードスタイリングまで幅広くこなし、食関連の企業サイトや雑誌などで活躍中。
「フードコーディネーター 清水加奈子」