Living My Life マガジン

変化の激しい時代始まる 金融リテラシーを高めて乗り切ろう

■2024年度は、お金に関する知識を学ぶチャンスかも

2024年度は「金融経済教育元年」となるかもしれません。お金について学ぶチャンスが増えるということです。

政府の掲げる資産所得倍増プランは、NISA制度の拡充(2024年1月から実施)などが有名ですが、こうした制度を上手に国民が活用していくための知識力アップも課題としています。

「資産所得倍増プラン 第五の柱:安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実」

今まで、お金のことを学ぶときの接点として、金融機関をイメージすることが多かったかもしれませんが、教育チャネルを増やしていくことで、中立的・客観的なお金の知識を体系的に学べるようにしていきたいというのがねらいのひとつです。

2024年度には金融経済教育推進機構という団体が設置され、各種取り組みが充実していくことになっています。

出典:内閣官房「資産所得倍増プラン」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/dabiplan2022.pdf

■お金の知識を学ぶことができなかった私たち

こうした取り組みの背景は、今働き盛りにある世代や年金生活者の世代が、お金の知識を十分かつ体系的に学ぶ取り組みがあまり行われてこなかったことにあると思われます。

実は今、学生たちのほうが金融リテラシーの基本を学んでいます。高校では学習指導要領の見直しにより、投資の基礎知識も学習内容に含まれるようになりました。社会科と家庭科でバランスよくお金の基礎知識を学ぶようにプログラムされています。

大学生についても、お金について学ぶ講座が開講されていたり、金融機関の寄付講座が設定されていたりします。FP資格を在学中に取得して就職に役立てようといった取り組みもあり、これも学生が金融知識を身につけるきっかけとなっているようです。

国が音頭を取って社会人のお金の知識を高めていこうとしている理由のひとつは、実際に仕事をしてお金を稼いでいる世代が、金融リテラシーが十分ではないという危機感があるからです。

■金融リテラシーを身につけ、自分を助ける力としよう

金融リテラシーというと、ついつい株でお金を増やす方法、のようなイメージがありますが、実はそれだけではありません。むしろ「しっかり稼ぐこと」「無理なくムダなくお金を使うこと」「貯蓄や投資でお金を増やしていくこと」「保険等を活用しリスクに備えていくこと」などをバランス良く理解し、お金の問題をしっかり解決していける知識を持つことが目的です。

もし、お金について広く学ぶチャンスがあれば、そのチャンスを活用していってください。セミナーであったり、オンラインのコンテンツであったり、興味をちょっと持つと、お金の基本知識を手に入れるチャネルがたくさんあることに気がつくはずです。

とはいえ、国民が皆お金の専門家を目指すわけではありませんので、必要に応じてお金の相談相手を持つことも大切です。先ほどの資産所得倍増プランにも掲げられており、かかりつけのお医者さんが健康の相談相手となるように、お金の相談相手が身近に用意されることも目指しています。

アメリカなど外国ではお金の相談をする相手をもち、数十年にわたっておつきあいをすることも珍しくないそうです。ここまでくると、人生とお金の伴走相手といっていいくらいですが、いい伴走者と出会えたなら、一生の財産となるかもしれません。

■2024年度は変化が大きい時代となるかも

今回が私の担当する連載の最終回となりますが、お金の知識や知恵を蓄えていきましょう、と最後にお話したのは、今がまさに変化の時代にあるからです。

物価が数十年上がらない時代は終わり、上昇し始めました。給与もそれに応じてゆっくりながらも上がる会社が増えています。手取りが増えたからといって喜んでいても、モノの値段も同じくらい上がっていることがしばしばです。家計管理をしっかりコントロールすることが大切です。

住宅ローン金利や銀行預金金利も変化が起きる年になるかもしれません。投資環境においてはバブル後最高値を更新、のようなニュースが年初から何度も飛び込んでくるなど上昇をしています。ということは短期的には反落することもあるわけで、「投資をすれば儲かるだろう」と安易に考えず中長期的に取り組んでいくことが求められます。

そして、こうした時期にはあやしい金融商品を売り込んでくる人も出てきます。毎年何回か、金融詐欺を行ったグループが逮捕されますが、渡したお金のほとんどは戻りません(主宰者たちが使い込んでいるか、ウソの高利回りのために元本を取り崩して使ってしまうことが多いため)。

正しい金融知識を手に入れ、正しい行動を実現することができれば、あなたのお金の不安は小さくなり、楽しく幸せを感じるためにお金を使えるようになるはずです。

あなたのお金の問題が「頭痛の種」ではなく「幸せを手に入れる手段」となることを願っています。

山崎俊輔 やまさき・しゅんすけ
1972年生まれ。
フィナンシャル・ウィズダム代表。投資教育家。
企業年金コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー、消費生活アドバイザー、1級DCプランナー。

確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門。ニュースサイトや雑誌、新聞等での執筆や講演多数。
近著に「ファイナンシャル・ウェルビーイング」「新NISAとiDeCoでお金を増やす方法」」がある。

twitter @yam_syun
HP http://financialwisdom.jp

おすすめサイト

メールマガジンに関するお問い合わせはこちらまでご連絡ください

>> メールマガジン利用規約
>> お客さまの個人情報のお取扱いについて

発行AIG損害保険株式会社 マーケティング
〒105-8602 東京都港区虎ノ門4丁目3番20号