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私の資産形成、NISAとiDeCo、どっちをどう使えばいい? 簡単に教えてください!

■最近よくみかけるNISAってなんだろう?

NISA制度をご存知でしょうか。日本語でいうと少額投資非課税制度というちょっと固い名称ですが、そのニックネームです。

一定の金額内であれば、投資をしたときの利益について非課税で全額をもらっていい、という有利な制度がNISAです。このNISA制度、2024年1月から大幅な改正が行われることで注目が集まっています。

まず、制度が恒久化されます。期間限定の取り組みではなく、これからずっと利用できる制度として確定したため、安心して利用できるようになります。

制度も一本化されます。2023年までは「一般NISA」か「つみたてNISA」かどちらかを口座開設時に選ばなければなりませんでしたが、これからはシンプルにNISA口座の開設手続きだけすればよくなります。その中に「一般NISA」に相当する成長投資枠と、「つみたてNISA」に相当するつみたて投資枠が設けられ、かつ同時に利用できるようになります。

枠組みも大きくなります。年単位では成長投資枠が年240万円、つみたて投資枠が年120万円となり、全体としての非課税保有限度額の上限が入金額ベースで1,800万円まで利用できるのです(成長投資枠が1,200万円以内という制限あり)。

NISA制度は、運用で得られた利益がすべて非課税となるという大きな特徴があります。本来なら利益の20.315%が課税されますから、これはとても有利です。

■もうひとつ人気のiDeCoってどこがいいの?

もうひとつ、資産運用の受け皿として注目されているのはiDeCoです。こちらは個人型確定拠出年金のニックネームです。

「年金」と名のつくように、老後のお金を増やしていくための口座として想定されています。こちらもNISAと同様に運用収益に課税されないというメリットがあります。大きな違いは、iDeCoへ積み立てた毎月の掛金について所得税や住民税を計算する対象から外してもらえるというメリットがあることです(所得控除)。

一方で、国の年金制度と関連していることから、働き方によって積立額が異なったり、原則として60歳まで解約ができなかったりという制限もあります。

それでも、所得税や住民税を軽くしてもらえるメリットはNISAにもなく、魅力的な選択肢のひとつです。

さて、話題となっているNISAと、お得さのあるiDeCo、どう活用していけばいいでしょうか。

■基本的な使い方はまずNISA優先

投資をしようと考えた場合、私たちは証券口座を開設する必要があります。預金をするときは銀行で銀行口座を開くように、証券口座を開いてそこで投資をします。このとき、同時にNISA口座も開設しておくといいでしょう。

どうせ同じ投資をするならNISA口座で株や投資信託を保有するだけで、運用収益は非課税となります。わざわざ20.315%の税金を払う必要はありません。

投資金額は気にしなくてかまいません。毎月数千円から数万円の積立をしている人もたくさんいます。よく、「上限1800万円なんて、そんなお金出せないのでNISAはやりません」という声を耳にしますが、むしろ少額から積立で投資をしていくのがNISAのよい使い方だと思います。

今では、年0.5%を下回る運用の手数料で、世界中の株式に投資をするような投資信託もたくさんあります。10万円あたり年500円と考えてみれば手数料の低さが分かります。

興味があればぜひ、NISA口座の開設をしてみてください。

■老後の心配ができる人はあえてiDeCo優先で行こう

最初に説明したとおり、税制優遇についてはiDeCoのほうが勝ります。自分の老後のために自分のお金をiDeCo口座に入金すると今納めている所得税や住民税が軽くなるというわけですから、頑張れば頑張るほど税金が軽くなります。

仮に月2.3万円の積立を30年がんばったとして、その間の税率が20%相当だったとすれば、828万円積み立てたごほうびに、国が165.6万円の税金を免除していることになります。

言い換えれば「実質負担662.4万円+税制優遇で得した分165.6万円=iDeCoに入金したお金828万円」といえます。これはお金が大きく増える仕組みとして見逃せません。

iDeCoはよく「60歳まで中途解約できないことがデメリット」と利用を先送りするアドバイスがされますが、老後のお金を作ろうと頑張っている人にとっては別に困ることではありません。

私たちは老後のことも考えて資産形成していく時代に入りました。また、60歳になれば解約していいわけですから、60歳時点で住宅ローンが残っていたりすればその返却にあててもいいわけです。あまりデメリットと考えなくてもいいように思います。

iDeCoは口座開設の手続きがやや複雑なのがハードルですが、NISAと合わせて口座開設の検討をしてみてください。

■あなたの資産形成に、iDeCoとNISA、上手に活用してみよう

資産運用は、私たちにとってお金を増やす重要な選択肢のひとつです。物価上昇局面に入ってもなお、超低金利環境が続いている昨今ではさらに、資産運用の大切さが高まっています。

もし、投資に不安があるなら、まずは少額からスタートしてみてください。最低額でいえば一回あたり100円の積立投資を扱う金融機関もあります。何百万円もの資金は必要ありません。

NISAのつみたて投資枠、iDeCoについては毎月一定額を自動引き落としで購入する積立投資の手法が利用できます。これなら積立の定期預金をするような感覚で自動的に投資額を増やしていくことができます。

長い目で見れば、経済の成長が大きなリターンを生み出すことは、過去の歴史が証明しています。前世紀のバブル崩壊や今世紀のリーマンショックのような時期があっても、20年積立投資をしていた人はプラスの運用成績になっているそうです(金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」の試算による)。

短期的な値動きに一喜一憂することなく(特に値下がりしたときには焦らず)、長い目で見て資産形成をチャレンジしてみてください。
きっと数十年後の未来のあなたは、増やした財産を活用して楽しい人生をデザインすることができるはずです。

なお、投資信託等を通じたリスク資産の運用においては、短期的に元本割れとなる可能性がありますので、投資の内容をよく確認し、無理のない範囲で投資を行うようにしてください。

出典:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/guide/index.html

山崎俊輔 やまさき・しゅんすけ
1972年生まれ。
フィナンシャル・ウィズダム代表。投資教育家。
企業年金コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー、消費生活アドバイザー、1級DCプランナー。

確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門。
企業年金連合会では税制改正要望や確定拠出年金制度の実務ハンドブック編纂に携わる。
日本年金学会に所属し「DC法改正がもたらす老後資産形成への影響と課題」を報告(2015年度)。
近著に「誰でもできる確定拠出年金運用術」がある。ファイナンシャル・プランナーとしての執筆、講演多数。

2017年2月からは、厚生労働省の確定拠出年金の運用に関する専門委員会で委員を務め、今般のDC法改正の中で政省令の定義が必要な項目を中心に議論にも参画した。

twitter @yam_syun
HP http://financialwisdom.jp

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