「私が若い頃はもっと◯◯だったのに…」
「今はそんな時代じゃない!」
家族と接している中で生まれるすれ違い…これが世代間ギャップです。世代間ギャップを乗り越え、家族のコミュニケーションをよりスムーズに、豊かなものにしていくためにはどのようなことを心掛けると良いのでしょうか?
コミュニケーションの専門家として、数々の家族のお悩みに向き合っている菅原裕子さんからアドバイスをいただきました。
変化の激しい社会で「私たちの時代には…」は通用しない
今回のテーマは世代間ギャップですが、現代ではもはや世代間の差をギャップと捉える感覚すら薄くなっているように感じます。かつて昭和の子育てでは、頭ごなしに「俺が若い頃じゃありえないぞ!」といった叱り方である程度押し通せたかもしれません。ところが今、そんな言葉を若い世代にぶつけたところで子どもはピンとこないまま、親が取り残されるだけです。
それでもやはり「世代ごとの傾向」のようなものは確実にあると私は思います。世代間ギャップは、埋めるのではなく傾向の違いを認め合うほうが、現代の家族のコミュニケーションにおいてはうまく乗り越えられるのかもしれません。
2ステップで世代間ギャップを乗り越える
世代による傾向の違いとうまく付き合うためにどうすればいいのか、世代間ギャップを乗り越える2ステップを紹介します。
「傾向の違いを理解する」
「傾向の違いを理解する」ときに重要なのは、物事の良し悪しを判断することではありません。「私とあなたでは世代が違うのだから、私とあなたでは良し悪しがそもそも違うのだ」と理解することです。おこづかいの金額や友だちとの付き合い方など、親からすれば「ありえない!」と感じることも、子どもには「ありえる!」ことなのです。
「ルールや方向性、あるいは目指すものを具体的に決める」
「傾向の違いを理解する」ことが大切とはいえ、違いをすべて「良し」としてはいけません。家族が良くない方向へ進んでいるのなら、その点を指摘し、軌道修正していくべきです。それがステップ2「ルールや方向性、あるいは目指すものを具体的に決める」です。ただし、一方的にルールを決めるのはNG。あくまで一緒に話し合いながら、ルールや方向性を具体的に落とし込んでいくことが大切です。
欠かせないのは、感情的にならないこと
最後に、世代間における話し合いで最重要ともいえるポイントをお伝えします。それは「感情的にならないこと」です。「感情的になる」とは人によって異なり、怒りを爆発させたり、極度に落ち込んでしまったりすることです。家族の前で感情的にならないためには、普段から自身の感情に意識を向けておくことです。感情的になりそうだと感じたら話し合いを早々に切り上げて、一度その場から離れるようにしましょう。仕切り直してから、家族と向き合います。
今回のアドバイスは、家族の世代間ギャップだけではなく、会社における上司と部下の世代間ギャップでも利用できます。ぜひ今日から試してみてください。
〈世代間コミュニケーション〉次回予告
〈デジタル時代のコミュニケーション〉SNSやアプリを活用しよう!
今後も、皆さまが自分らしい人生を送るためのヒントや癒やし、アドバイスなど楽しいコンテンツをお届けします!
- 上記の内容は予告なく変更する場合がございますのでご了承ください
<監修者プロフィール>
菅原裕子(すがはら ゆうこ)
NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事。
人材開発コンサルタントとして企業の人材育成に携わる一方、その経験と自身の子育て経験から、子どもが自分らしく生きることを援助するためのプログラム「ハートフルコミュニケーション」を開発。「子どもの心のコーチング」(PHP文庫)、「コーチングの技術」(講談社現代新書)など著書多数。「我が子のコーチになって疑問や悩みを自信に変えよう」と、ハートフルコーチ養成講座(オンライン)を開催中。