Living My Life マガジン

〈世代間コミュニケーションの心得〉家族の関係を深めるために

思春期の子どもやシニア層の親など、自分とは異なる世代の家族と話していると、価値観の違いにモヤモヤした経験はありませんか?
今回は、コミュニケーションの専門家として、数々の家族のお悩みに向き合っている菅原裕子さんに、世代間コミュニケーションのモヤモヤを解消し、より良い家族関係を築くためのヒントを教えていただきます。

子どもや親との世代間コミュニケーションでモヤモヤするのはなぜ?

皆さんの中に、思春期の子どもやシニア層の親と接していてモヤモヤが生じたとき、その原因が世代による価値観の違いにあるのでは?と考える人がいらっしゃるのではないでしょうか。価値観がぶつかり合ったときに、自分がそれまで培ってきた感覚を否定されたくないという気持ちは誰もが抱きがちです。でも、そのモヤモヤの原因が必ずしも「世代による価値観の違い」にあるかというと、案外そうではないのです。

モヤモヤの根っこにあるもの、それは「日常のコミュニケーション不足」にあるといえます。

思春期の子どもやシニア層の親とのコミュニケーションについて、私もよく相談を受けますが、いずれも、日頃からコミュニケーションを十分に重ねてきていれば、容易に解決できるようなことが多いと感じます。家族のあいだで何かトラブルや課題が発生してしまった後で、初めてコミュニケーションを取って世代間の差を埋めようとしても、うまくいかないことが多いようです。
そこで、異なる世代とのコミュニケーションを円滑にする考え方を3つご紹介します。

日常的なコミュニケーションの中で得る「情報」が大切

日常的にコミュニケーションを取っていると、相手がどのようなことを考え、どのような価値観を持っているのか、「情報」として自分の中に蓄積されていきます。ですから、いざ問題が起きたときでも、蓄積してきた情報をもとに、相手の気持ちや、どのような対応を望むか・望まないのかといったことを想像しながら向き合うことができます。

親や子どもの価値観に「NO」を示さなければならない場面においても、普段のコミュニケーションで関係性が築けていれば、スムーズにいきやすいものです。例えば、久しぶりに会って話す親に対して突然、「危ないから車の運転はもうやめたほうがいい」と伝えても、急には受け入れてもらえないという話はよく聞きます。親の運転が不安になる以前から、他愛のない会話の中で「車の運転は何歳くらいまでしたいと考えているの?」など、こまめに連絡をして、話題に上げておくことが大切です。

コミュニケーションを活発にするポイントは「共感のある会話」

前述のとおり、コミュニケーションを活発にするには日常的に会話を増やすことですが、そのポイントとなるのが「共感」です。共感とは必ずしも「同意」ではありません。相手の言うことに同意できなくても、ともかく「そうなんだね」と受け止めるだけでOK。それだけで会話が続くようになります。

例えば、スマホばかり見ている子どもに声をかけたとき、「友だちとやりとりしてるから!」なんて言われると、「いい加減にやめなさい」といきなり否定したくなるかもしれません。でもそこで、「ああ、そうなんだね」と受け止め、「結構、いろんなやりとりがあるんだね」など、興味を持っている姿勢を示すと、途端にお小言ではない、通常の会話につながっていきます。やめさせたい場合でも、まずは子どもの事情を聞いた上で、こちらがやめてほしい理由を説明するようにすると効果的です。

異なる世代とのコミュニケーションで「学び」を得る

多様な世代とコミュニケーションを取ることは、多様な自分を体験することでもあります。「多様な自分」とは、例えば、子どもに見せる「自分」と自分の親に見せる「自分」は違いますよね。それは自分との関係性がそれぞれ異なるからです。世代間コミュニケーションを積極的に取ることで、いろんな自分を体験しながら、それぞれの世代が考えていることや彼らの行動から学びを得ていく。世代間コミュニケーションは双方の世代にとってそんな機会になるはずです。

1日3回ほど言葉のキャッチボールをするだけでも、コミュニケーションはぐんと改善されていきます。共感を忘れずに、ぜひ、家族との何気ない会話を増やすことから始めてみることをおすすめします。

〈世代間コミュニケーション〉次回予告

〈世代のギャップを乗り越える方法〉時代の変化を理解する

今後も、皆さまが自分らしい人生を送るためのヒントや癒やし、アドバイスなど楽しいコンテンツをお届けします!

  • 上記の内容は予告なく変更する場合がございますのでご了承ください

<監修プロフィール>

菅原裕子(すがはら ゆうこ)

NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事。
人材開発コンサルタントとして企業の人材育成に携わる一方、その経験と自身の子育て経験から、子どもが自分らしく生きることを援助するためのプログラム「ハートフルコミュニケーション」を開発。「子どもの心のコーチング」(PHP文庫)、「コーチングの技術」(講談社現代新書)など著書多数。「我が子のコーチになって疑問や悩みを自信に変えよう」と、ハートフルコーチ養成講座(オンライン)を開催中。

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